歯科衛生士が下手・・とクレームを受けた時に考えたい原因と対応!先輩DHの体験談もご紹介

歯科衛生士が下手とクレームを受けた時の原因と対処法
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治療を担当した患者さんからクレームを受けてしまった…!こんな経験があると、歯科衛生士としての自信をなくしてしまいますよね。

「痛かった」「雑だった」など、技術に関するクレームを受けた時は、その原因を探ることや真摯に対応することが大切です。先輩DHの体験談も参考にしながら、再びクレームを受けないための対策を考えましょう。

この記事を書いた人
まい

d latte編集部 まい

歯科衛生士歴8年。個人開業医での勤務を経て、現在は訪問歯科診療に携わる。高齢者の口腔ケアや摂食嚥下機能の維持・向上に情熱を注ぐ。介護施設での口腔ケア指導も行い、多職種連携の重要性を実感している。「口から始まる健康づくり」をモットーに、実践的なアドバイスを発信している。

Contents

歯科衛生士が「下手」と受けやすいクレーム内容とは?

歯科衛生士が受けるクレームで多い内容

患者さんが歯科衛生士に対してクレームを入れるのは、治療中に不快感を感じたり、精神的に嫌な思いをしたりした時です。ここでは、よくあるクレームについて見ていきましょう。

1. 治療が痛かった・痛みが残る

多くの患者さんが不快に思うのは、治療中に感じる痛みです。しかし、歯や歯茎に感じる痛みには「虫歯・歯周病・知覚過敏」などの様々な原因があり、必ずしも歯科衛生士の技術不足が原因とは限りません。

まい

痛みに対する患者様の反応を見ると、技術への不安を感じてしまうこともありますが、炎症の程度や歯周ポケットの状態によって痛みの度合いは大きく変わるものです。専門的な視点で状況を判断できるからこそ、患者様への丁寧な説明と共感が何より大切になりますね。

例えば、歯科衛生士が行う処置で痛みを伴いやすいのは「スケーリング」です。歯茎が炎症を起こしていたり、歯周ポケットが深かったりすると、患者さんが感じる痛みも強くなります。そのため、「痛い=下手」と思われてしまうことがあるのです。

ただし、「痛みがなかなか引かない」といったクレームの場合は、治療中に患者さんの口腔内を傷つけてしまった可能性も考えられます。患者さんが痛みを訴えている場合は、早急に歯科医師に診察をしてもらい、原因を解明することが重要です。

2. やり方が雑

限られた時間の中で早く済ませようとしたり、元々細かい作業が苦手だったりすると、患者さんから「この歯科衛生士さん、雑だなぁ」と思われてしまうことがあります。よくあるのは「顔に水がかかる・バキュームの入れ方や吸い方が乱暴・フロスの通し方が強くて痛い」などです。

ちなみに、このようなクレームを受ける可能性があるのは、新人だけでなくベテランの歯科衛生士も同様です。長年同じやり方を続けていると、いつの間にか器具の扱い方が雑になったり、力を入れすぎたりしていることがあり、クレームを受けるまで気づけない場合もあります。

3. 時間がかかる

慣れない処置を行う際に時間がかかり過ぎると、患者さんのイライラが募ってクレームに発展してしまうケースがあります。例えば、患者さんが担当制ではない場合は、他の歯科衛生士とやり方を比べられて「あの人は上手だったのに、この人は下手」と思われやすいのが難点です。

また、時間がかかってイライラしている患者さんは、他のことも不満に感じやすい傾向にあります。「言葉遣いが丁寧ではない」「タオルの掛け方が雑」など、複数のクレームを一度に受けてしまうこともあるため、焦っている時こそ丁寧な処置やまめな声掛けが必要です。

まい

処置に時間がかかる日こそ、患者様への細やかな配慮が試される瞬間ですね。技術向上と並行して、声掛けや心遣いで安心感を届けることが、信頼関係構築の鍵となるでしょう。

4. 説明が不十分

歯科衛生士の技術に問題がなくても、事前の説明が足りないとクレームを受けることがあります。「詳しい説明がないまま、いきなり治療された」「痛みがある治療なら、先に言ってほしかった」など、言葉が足りないことで患者さんの信頼を失ってしまうケースはよくあります。

歯科衛生士にとっては通常の業務の一つでも、患者さんにはどんな治療をされるのか分からない不安があります。そのため、事前の説明不足はもちろん、施術中の声掛けや施術後の説明などを怠ると、クレームに発展してしまう可能性があるのです。

歯科衛生士が「下手」とクレームを受けてしまう原因は?

歯科衛生士がクレームを受けてしまう原因
クレームになりやすい主な原因
  1. 技術力が足りない
  2. 時間に余裕がない
  3. コミュニケーション不足
  4. 自信が無いように見える

患者さんから下手だとクレームを受けたら、誰でも落ち込むのが当然です。しかし、それよりも大切なのは、なぜそう思わせてしまったのかをきちんと考えることです。

そこでここからは、クレームになりやすい原因について解説しましょう。

1. 技術力が足りない

仕事にまだ慣れていない新人の歯科衛生士はもちろんですが、ベテランの歯科衛生士であっても、やり慣れない治療や苦手な処置はスムーズにいかないことがあるものです。何度も失敗してやり直したり、他の人よりも時間がかかったりすると、患者さんの不満も増してしまいます。

技術力不足が原因のクレームを減らすには、とにかく仕事の腕を磨くしかありません。しかし、違う言い方をすれば「努力次第で改善の余地がある」ということなので、スキルを磨く良いチャンスだと受け止めて、前向きに改善しましょう。

まい

技術力への不安は、経験年数に関わらず多くの歯科衛生士が抱える共通の悩みですね。患者様の信頼を得るためにも、日々の研鑽が自信と安心感に繋がっていくのではないでしょうか。

2. 時間に余裕がない

一人の患者さんに割り当てられた時間が短かったり、前の患者さんの治療が長引いてしまったりすると、つい焦って治療が雑になったり、説明不足になったりしがちです。また、歯科衛生士に精神的な余裕がないと、患者さんの不安をあおることにもなりかねません。

時間に余裕がないことが原因でクレームが続いてしまうのであれば、歯科医院の運営自体に問題があることも考えられます。予約の取り方や業務の割り振り方などについて、スタッフ全員で話し合う機会を設けるのも一つの方法です。

3. コミュニケーション不足

技術的な問題がないのに「下手だった」とクレームが来てしまう場合は、患者さんとのコミュニケーション不足が原因かもしれません。例えば、痛みを伴う可能性がある処置を行う際、患者さんに対する説明が足りないと、「こんなに痛いと思わなかった!」という不満を抱かれてしまいます。

まい

技術に自信があっても、患者様との心の距離が生まれてしまうことがありますね。処置前の丁寧な説明や痛みへの配慮は、信頼関係を築く大切なコミュニケーションの一部なのでしょう。

また、クレームの中には「歯科衛生士によって説明が異なる」「歯科衛生士に話したことが先生に伝わっていない」といった内容もあります。これは情報共有が徹底されていないためで、院内のコミュニケーション不足が原因です。

コミュニケーション力は歯科衛生士に必要なスキルの一つです。そのスキルが十分でないと、技術力を持っていても評価が下がってしまう場合があります。

患者さんからクレームを受けた時の対応方法

クレームを受けた時の対処方法

患者さんからクレームを受けてしまった時は、同じ問題が起きないよう早急に対応することが肝心です。クレームの原因や改善策を考えて、個人はもちろん、院内全体で取り組みましょう。

1. 患者さんの話をきちんと聞く

まずは、患者さんのクレーム内容をしっかりヒアリングしましょう。患者さんがどのようなことに対して不満を感じたのか、あるいはどのような誤解を生んでしまったのか、ヒアリングを通して正確に判断することが重要です。

例えば、「痛かった」というクレームでも、患者さんの口腔内の状態による痛み、歯科衛生士の処置の仕方による痛み、説明不足で心の準備ができていなかったために感じた痛みなど、原因は様々です。そして、その原因を突き止められなければ、最適な改善策を見つけることはできません。

まい

患者様の声に真摯に耳を傾けることで、クレームの背景にある本当の気持ちが見えてきますね。同じ「痛い」でも、その原因を理解することが、より良い診療への第一歩となるはずです。

また、患者さんへのヒアリングは「クレームを真摯に受け止め、改善しようと努力している」という態度の表れになります。クレームを受けたという事実は変わらないものの、少なくとも「話を聞いてくれない」という新たな不満を感じさせてしまうことは避けられます。

2. 院長に報告する

自分が直接クレームを受けた場合は、院長にすぐ報告しましょう。自分から報告するのは勇気がいることですが、院長が把握していないと、さらに大きなトラブルに発展する心配があるため、クレームの報告は必須です。

また、クレーム内容を院内で共有することには、「再発を防ぐ」という大きな意味があります。原因や対策を考えるために、先輩の歯科衛生士も交えて院長と話をするのもおすすめです。

3. 患者さんへの説明を怠らない

クレームを受けた患者さんへはもちろん、今後担当する患者さんに対しても、治療に関する説明を怠らないようにしましょう。患者さんが知りたいのは、自分の口腔内の状態・治療の具体的な手順・治療中や治療後に起こりうる症状・費用などです。

ただし、たとえ詳しい内容だとしても、一方的な説明の仕方はNGです。説明の合い間に「何か気になることはありますか?」と聞くなどして、患者さんが話す機会を意識的に設けるようにしましょう。

また、治療中も「今からこのような処置をします」という説明や、「痛みはありませんか?」といった気遣いをすることが大切です。さらに、治療後は「今日はこのような治療をしました」「痛くありませんでしたか?」などの説明や声掛けをすることで、患者さんの不満を大幅に減らせるはずです。

まい

患者様の声に真摯に耳を傾けることで、クレームの背景にある本当の気持ちが見えてきますね。同じ「痛い」でも、その原因を理解することが、より良い診療への大切なヒントになりそうです。

4. スキルを磨く努力をする

「担当を別の人に変えてほしい」といったクレームの場合は、自分の技術不足が原因の可能性があります。このような時は自分のやり方を一から見直したり、院長や先輩に確認してもらうとよいでしょう。

院内での練習が難しい場合は、外部の研修や講習を受けることもおすすめです。現役の歯科衛生士を対象とした講座は、いろいろな団体やスクールで開催されています。基本のおさらいや未経験の技術の習得など、内容も様々です。

また、研修や講座の受講によって、資格を取得できることもあります。資格があるということは、特定の分野に精通しているという証です。患者さんにとっても安心感が増す材料となるため、クレームの再発防止につながります。

まい

技術向上への意欲は、患者様への最高のおもてなしですね。外部研修や資格取得を通じて得られる新しい知識や技術は、きっと診療の質と自信の向上に繋がっていくでしょう。

ペイシェントハラスメントの場合は組織として対応!

ペイハラの場合は組織として対応

歯科衛生士は患者さんとの距離が近く、ハラスメントの対象になりやすい立場です。不適切な身体的接触や性的発言、暴言を受けた場合は、一人で我慢せず必ず同僚や上司に報告しましょう。

「申し訳ございませんが、処置を中断させていただきます」と毅然とした対応も必要です。治療中は他のスタッフに同席してもらい、記録を残すことも大切です。あなたの安全と尊厳を最優先にしましょう。

ペイシェントハラスメントは個人の問題ではなく、医院全体で取り組むべき重要な課題です。

不適切な言動を受けた場合は、すぐに院長や先輩スタッフに報告し、一人で対処しようとしないでください。医院として明確なガイドラインを設け、スタッフ全員が安心して働ける環境を整備することが大切です。

医療従事者として患者さんに寄り添いながらも、自分自身を守ることを忘れてはいけません。

必要に応じて患者さんとの治療契約を見直したり、診療をお断りする場合もあります。記録の保管、法的対応の検討など、組織的な対応でスタッフの安全と尊厳を守りましょう。

【先輩歯科衛生士の体験談】これまでに受けたクレームは?

先輩歯科衛生士のクレーム体験談

クレームを受けて落ち込んでいる時、「私も経験あるよ!」と先輩になぐさめてもらったことがある人は多いはず。ここでは、そんな先輩たちの体験談をご紹介しましょう。

説明がなかった・歯石除去が痛かった

クリーニングを担当した患者さんから、「説明がないまま治療された」「歯石除去がとても痛くて、出血もあった」というクレームを受けました。自分では説明をしたつもりだったのですが、言葉が足りなかったのだと反省しています。

歯石がたくさん付いていたり、歯茎が炎症を起こしていたりすると、スケーリングの際に痛みを感じやすく、出血する可能性もあります。

そういった「起こりうる状況」に対してクレームを受けてしまったのは、患者さんにとって分かりやすい説明ができていなかったからかもしれません。治療前の説明や治療後のフォローがとても大切なのがよく分かりますね。

バキュームのタイミングが悪い

先生のアシストをしていた時、バキュームで吸引するタイミングが悪く、患者さんから「何度も唾を飲んで苦しかった」と言われました。先生は「ただの水だから大丈夫ですよ」とフォローしてくれましたが、患者さんは納得していないようでした。

アシスト業務は歯科医師の動きに合わせて行うことが大切で、実は苦手意識を持つ歯科衛生士が意外と多くいます。

先生がフォローする側に回ってくれるとありがたいですが、逆に先生から直接注意されてしまうことも珍しくありません。解決するには経験を積むのが一番で、とにかく回数をこなすことです。

時間がかかる・きれいにできていない

新人の頃、スケーリングが苦手で30分以上かかってしまうことがあり、「時間がかかったわりに、きれいに取れていない」とクレームを受けたことがあります。先輩に相談したら練習役を引き受けて下さり、とてもありがたかったです。

苦手な治療はどうしても時間がかかってしまうものですが、新人の頃ならなおさらです。しかし、こういった技術不足に対するクレームは、自分の腕を磨くしかありません。

先輩にサポートしてもらい、いずれは自分も後輩の力になるという助け合いが受け継がれるのが理想的です。

子どもや親への指導が不愉快

診察室を歩き回ったりしてしまう落ち着きのないお子さんを担当し、歯磨きがちゃんとできていない状態だったため、親御さんに「おうちで歯磨きする時はしっかり見てあげてほしい」「院内には危険な物もあるので、おとなしくしているようにお母さんからも指導してほしい」と伝えたところ、「育て方が悪いと言われたようで不愉快だった」とクレームを受けました。次の診察時に謝罪しましたが、正直モヤモヤしています。

クレームの中で特に難しいのが、患者さんへの接し方に対するものです。たとえ正論であっても、患者さんが不愉快に感じるような言い方をしてしまうと、反感を買ってしまうことがあります。

お子さんにはその都度優しく注意する、親御さんには歯磨き指導だけお願いするなど、伝えることと伝えないことを分けて考えるといいかもしれません。

まとめ

どんなに気を配って仕事しているつもりでも、患者さんからクレームを受けてしまうことがあるのが歯科衛生士の辛いところ。でも、患者さんになぜそう思わせてしまったのかを考えれば、解決策や改善点を見つけられることも多くあります。歯科衛生士としてステップアップするチャンスととらえて、クレームにもなるべくポジティブに向き合っていきましょう!

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