歯科衛生士と歯科助手の違いは何?仕事内容・給与なども比較してご紹介!

歯科衛生士と歯科樹種の違い
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歯科衛生士歯科助手の違いをご存知ですか?どちらもよく似た仕事のように思えるかもしれませんが、実はこの2つの職業には明確な違いがあるんです。

また、どちらの仕事に就こうか迷っている人にとっては、月収や年収の差なども気になるところですよね。そこでこの記事では、歯科衛生士と歯科助手の違いについて詳しく解説します!

この記事の監修者
みさき

d latte編集部 みさき

歯科衛生士歴12年。総合病院の歯科口腔外科で経験を積んだ後、現在は一般歯科クリニックで予防歯科を中心に従事。患者さんとのコミュニケーションを大切にし、分かりやすい口腔ケア指導に定評がある。2児の母として育児と仕事の両立に奮闘中。同じ境遇の歯科衛生士さんに寄り添う記事執筆を心がけている。

※本記事で紹介している商品にはPR商品を含みますがランキング・コンテンツ内容はd latte編集部調査をもとに作成しています。また本記事内の情報は一般的な知識であり、自己判断を促すものではありません。

Contents

歯科衛生士と歯科助手の違いは何?

歯科衛生士と歯科助手の違いは?
歯科衛生士歯科助手
資格国家資格必要なし
(民間資格あり)
主な業務内容歯科医療業務歯科医療業務以外の業務
主な勤務先歯科医院・訪問歯科診療・病院・介護施設・行政 など歯科医院・訪問歯科診療 など

歯科衛生士と歯科助手の一番の違いは「資格の有無」です。歯科衛生士は国家資格ですが、歯科助手は資格不要で仕事ができます。また、業務内容や主な勤務先にも大きな違いがあります。詳しく見ていきましょう。

資格の違い

歯科衛生士歯科助手
資格の種類国家資格民間資格(任意)
主な資格歯科助手資格
歯科助手技能認定
歯科助手専門員 など
取得方法厚生労働省指定の養成所等で3年学び、試験を受ける。講習を受ける、通信講座や専門学校などで学んで試験を受けるなど。

歯科衛生士は国家資格で、資格を取得するには専門学校・短大・大学などで学び、試験に合格する必要があります。一方、歯科助手は資格取得の義務はありませんが、以下のような民間資格があります。

【歯科助手資格】

日本歯科医師会が認定する資格。乙種第一・乙種第二・甲種の3つの資格があり、規定の講習を受講すると認定される。

【歯科助手技能認定】

日本医療教育財団が認定する資格。団体の承認を受けた教育機関で技能を習得し、試験に合格すると認定される。

【歯科助手専門員】

全国医療福祉教育協会が認定する資格。ヒューマンアカデミーやユーキャンの通信講座を受講し、課題をクリアすると認定される。

歯科助手は無資格・未経験でもなれる職業ですが、資格を取得すれば基本的な知識などが身に付くため、現場でスムーズに働けるというメリットがあります。

また、資格保有者は就職や転職で有利になる可能性もあります。

業務内容の違い

歯科衛生士歯科助手
歯科予防処置
歯科診療補助
歯科保健指導
歯科医療業務以外の診療補助
受付・事務
レセプト作成
備品管理
清掃

歯科医師が歯科治療全般を行うのに対し、歯科衛生士は歯科治療以外の歯科医療業務を行います。

一方、歯科助手は歯科医療業務を行うことはできず、それ以外の診療補助や様々な業務を担います。具体的な業務内容を見ていきましょう。

歯科衛生士ができること

歯科衛生士ができること

歯科予防処置

歯科予防処置は虫歯や歯周病を予防するために行う処置です。具体的には、歯のクリーニング・スケーリング(歯石除去)・フッ素の塗布などが挙げられます。

予防処置は歯科衛生士が主体となって行う大切な業務で、患者さんの口腔内環境を良くする役割を持っています。

歯科診療補助

歯科診療補助とは、歯科医師が治療を行う際にサポートをする業務です。患者さんの誘導・器具の準備や受け渡し・バキュームでの吸引・印象材の緩和・カルテの入力など、様々な業務があります。

ただし、歯の治療などの行為は歯科医師だけが行えるもので、歯科衛生士が行うことは禁じられています。

歯科保健指導

歯科保健指導では、主に歯磨きや食生活などに関する指導を行います。虫歯や歯周病になりにくい口内環境を作ることが目的で、保育園・小学校・介護施設などに赴いて指導する場合もあります。

また、嚥下機能が低下した高齢者に口腔機能向上のトレーニングを指導するのも、歯科衛生士の大切な役割の一つです。

歯科助手ができること

歯科助手ができること

歯科医療業務以外の診療補助

歯科助手は歯科医療業務を行うことが禁止されているため、それ以外の診療補助をメインに行います。患者さんの誘導・器具の準備や受け渡し・印象材の練和・カルテの入力などは、歯科衛生士と同様に行えます。

また、歯科助手は基本的に患者さんの口の中に触れてはいけないことになっていますが、バキュームでの吸引は医療行為にあたらないため、歯科助手も行います。

受付・事務

受付業務は主に歯科助手の仕事です。診察券や保険証の確認・会計・電話やメールの応対・予約スケジュールの管理など、受付だけでも様々な業務があります。

事務作業はパソコンを使用する機会が多いため、基本的なパソコンの操作スキルがあるとよいでしょう、

レセプト作成

レセプトとは、健康保険組合などに請求する診療報酬明細書のことです。レセプト作成は資格不要でできる業務のため、歯科助手が行うのが一般的です。

ただし、未経験者は覚えるまでに時間を有するため、歯科助手の資格取得と共に学んでおくと安心です。

備品管理

歯科医院では様々な器具や材料を使用します。それらの管理を行うのも、歯科助手の大切な業務の一つです。例えば、治療器具の洗浄や消毒・歯科材料の在庫管理や発注・使用済みの歯科用品の廃棄など、細々した業務を担います。

清掃

大きな病院などでは清掃専門の従業員がいますが、小規模の歯科医院では院内清掃も歯科助手が行うのが一般的です。診察室やユニット・待合室・トイレ・スタッフルームなど、院内全体を清潔に保つことが求められます。

勤務先の違い

歯科衛生士歯科助手
歯科医院・訪問歯科診療・病院・介護施設・保健センター・歯科関連企業など歯科医院・訪問歯科診療など

歯科衛生士は国家資格で口腔ケアの専門家です。

そのため、歯科医院以外にも訪問歯科診療・病院・介護施設などで、その技術が必要とされます。また、保健センターにおいて保健指導を行ったり、歯科関連企業で商品開発や研究などを行う人もいます。

一方、歯科助手の勤務先で最も多いのは歯科医院です。歯科医院は医療業務以外にも様々な業務があり、それらを歯科助手が担うことで安定した診療体制を維持することができます。

また、最近は訪問歯科診療に同行する歯科助手も増えています。訪問歯科診療の場合は診療補助だけでなく、車の運転が必須となるケースも珍しくありません。

歯科衛生士と歯科助手の給与額を比較!

歯科衛生士と歯科助手の給与の違いを比較
歯科衛生士歯科助手
平均月収29万7,600円20万6,000円
平均年収405万5,600円322万9,000円
平均時給1,970円1,281円

参考(歯科衛生士):厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
参考(歯科助手):厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」

歯科衛生士と歯科助手の平均給与額を比較すると、国家資格である歯科衛生士の方が給与が高いことが分かります。

ちなみに、国税庁の令和5年民間給与実態統計調査によると、女性の平均年収は約316万円となっています。それと比べると、歯科衛生士の平均年収は約90万円高く、歯科助手も約7万円高いことになります。

歯科業界は常に人手不足と言われているため、歯科衛生士はもちろんですが、歯科助手の給与も安定していると言えるでしょう。

【勤続年数別】歯科衛生士と歯科助手の平均月収

勤続年数歯科衛生士歯科助手
0年25万5,000円20万100円
1~4年27万9,800円21万3,300円
5~9年29万4,700円22万5,400円
10~14年29万2,400円24万100円
15年以上29万1,600円25万1,100円

参考(歯科衛生士):厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
参考(歯科助手):厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」

上記の表は、歯科衛生士と歯科助手の所定内給与額(時間外勤務手当などを含まない給与額)を参考に作成しています。

歯科助手の平均月収が勤続年数と共に上昇し続けるのに対し、歯科衛生士は勤続5~9年をピークにやや減少します。しかし、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、歯科衛生士の平均ボーナスは勤続年数と共に増加する傾向にあり、平均年収もそれと共に上昇することが分かっています。

【年齢別】歯科衛生士と歯科助手の平均年収

年齢歯科衛生士歯科助手
20~24歳378万7,700円297万3,600円
25~29歳402万6,800円328万3,100円
30~34歳434万8,900円312万6,200円
35~39歳402万9,800円338万3,500円
40~44歳407万5,800円365万8,500円
45~49歳461万4,600円330万3,800円
50~54歳410万3,300円355万3,500円
55~59歳416万6,300円327万円
60~64歳311万5,600円313万7,600円
65~69歳397万8,300円252万900円

参考(歯科衛生士):厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
参考(歯科助手):厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」

歯科衛生士と歯科助手の平均年収を年齢別に比較すると、年収が最も高くなるのは、歯科衛生士が40代後半、歯科助手が40代前半という結果になりました。

40代はスキルにもキャリアにも磨きがかかる時期です。働きぶりが職場で評価され、昇給する人が多い世代だと言えるのかもしれません。

一方、年収が一旦下がる傾向にあるのが、歯科衛生士は35~39歳、歯科助手は30~34歳でした。歯科衛生士も歯科助手も女性の割合が圧倒的に多い職業です。そのため、結婚・出産・子育てなどを理由に離職する人が多く、それが年収のダウンにつながっているのだと考えられます。

歯科衛生士として働くメリットとは?

歯科衛生士として働くメリットとは
3つのメリット!
  1. 勤務先の選択肢が多い
  2. 収入が安定している
  3. 復職しやすい

歯科衛生士の魅力は「国家資格である」ということです。一度資格を取ればずっと働き続けられるため、メリットがいくつもあります。

1. 勤務先の選択肢が多い

歯科衛生士の勤務先として最も多いのは歯科医院です。歯科医院はコンビニよりも数が多いと言われており、歯科衛生士の就職や転職は常に売り手市場となっています。

また、歯科医院以外にも、訪問歯科診療・病院・介護施設・保健センターなど、歯科衛生士が活躍する場はたくさんあります。

2. 収入が安定している

平均年収の比較
歯科衛生士医療・福祉の女性全国の女性
405万5,600円347万4,000円315万8,000円

参考(歯科衛生士):厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
参考(医療・福祉、全国平均):国税庁「令和5年民間給与実態統計調査」

歯科衛生士の平均年収は、医療・福祉業界の女性や全国の女性の平均年収と比較しても、明らかに高いことが分かります。これは歯科衛生士が国家資格保有者であることが大きな理由の一つだと言えるでしょう。

また、歯科衛生士は歯科業界で常に必要とされる人材なので、就職や転職で困る心配がありません。そのため、収入が安定しているというメリットがあります。

3. 復職しやすい

歯科衛生士の約99%は女性と言われており、結婚や出産を機に離職する人が少なくありません。しかし、慢性的な人手不足が懸念される職業なので、ブランクがある人も復職しやすいのがメリットです。

また、歯科関連の団体や民間企業などでは、復職支援のための研修やセミナーを行っています。復職支援を受ければ、これまでの技術をおさらいしたり、最新の臨床技術を学んだりできます。そのため、ブランクがある人でも安心して現場に戻ることができるのです。

歯科助手として働くメリット

歯科助手として働くメリットとは
2つのメリット!
  1. 資格がなくても働ける
  2. 歯科衛生士を目指せる

歯科助手は医療業務を行うことができない職業ですが、歯科助手ならではのメリットがちゃんとあります。詳しく見ていきましょう。

1. 資格がなくても働ける

歯科助手として働く上での大きなメリットとなるのが、資格が不要だという点です。歯科助手には民間資格がいくつかありますが、取得の義務はなく、未経験でも仕事に就くことは可能です。働きながら学べる業務が多いため、「資格はないけど歯科医院で働いてみたい」という人にぴったりの職業です。

2. 歯科衛生士を目指せる

歯科衛生士になるには、厚生労働省が指定する養成機関で3年間学び、試験に合格しなければなりません。そのため、社会人になってから歯科衛生士を目指すのは、時間や費用の面でなかなか大変です。

しかし、歯科助手の場合は医療業務以外の業務がすでに身に付いているため、歯科衛生士を目指しやすいというメリットがあります。また、専門学校の中には夜間部があったり、歯科助手を対象としたサポートを行っているところがあり、歯科医院で仕事をしながら勉強できる環境が整っています。

さらに、厚生労働省は教育訓練給付金制度を設け、働く人のキャリア形成を支援しています。この給付金は返還義務がなく、学費を約半額にまで抑えることができます。

参考:厚生労働省「教育訓練給付金」

 まとめ

歯科衛生士と歯科助手には、資格の有無や業務内容などに大きな違いがあります。しかし、どちらも歯科医院には欠かせない重要な人材です。

歯科衛生士になるために学校に通うか、それとも資格なしで歯科助手として働くか、2つの道で迷っているなら、まずはいろいろな角度から比較して、じっくり検討してみてくださいね!

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