転職を考える時、せっかくならボーナスをもらってから辞められたら一番いいですよね。でも、ボーナスをもらってすぐに辞めるのは問題ないのでしょうか?
結論から言うと、ボーナス後すぐに退職することは可能です。ただし、満額を受け取るためには、ベストなタイミングの見極めが大切です。また、円満退職するためのポイントもしっかりチェックしておきましょう!

d latte編集部 まり
歯科衛生士歴10年。審美歯科・ホワイトニング専門クリニックで美容面からの口腔ケアに携わる。患者さんの「美しい笑顔」を引き出すことにやりがいを感じている。SNSでの情報発信も行い、正しいセルフケア方法の普及に努める。プライベートでは趣味の写真撮影を通じて、笑顔の大切さを再認識している。
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ボーナスをもらってすぐに退職してもいいの?

年に1~2回支給されるボーナスは、その期間に頑張って働いた従業員に対する特別な報酬です。そのため、ボーナスをもらってすぐに退職するとしても、罪悪感を感じる必要はありません。
「ボーナスをもらってから辞めたい」と考えるのは、歯科衛生士に限らず、どの業界で働く人にも共通する思いです。最近は夏のボーナス後に転職者が増える傾向にあり、ボーナスを受け取ってすぐに辞めることは珍しくなくなっています。
ただし、労働契約が有期雇用の場合、退職のタイミングを自分で決められない可能性があります。特に契約から1年を経過しない場合は、よほどの理由がなければ退職が認められないので注意しましょう。

正当な報酬だと頭では分かっていても、患者様やスタッフのことを思うと申し訳ない気持ちになるのは、真摯に医院と向き合ってきたからこその悩みですよね。
ボーナスの返還を要求されることはある?

返還は違法だが、減額される可能性があるので注意!
「ボーナスを支給した直後に退職したから」という理由で勤務先がボーナスの返還を求めるのは、労働基準法に違反します。そのため、万が一返還を要求された場合は、労働基準監督署や弁護士などに相談して対応を検討しましょう。
一方、就業規則において「退職予定者の賞与は一定の割合を減額する」といったルールが規定されている場合、ボーナスが減額される可能性があるので注意が必要です。
ボーナスにはこれまでの労働に対する労いだけでなく、今後の活躍に対する期待の意味も込められています。ボーナス支給直後の退職は今後の労働への期待が失われるため、その分をボーナスから減額するケースがあるのです。
ただし、ボーナスの大部分が減額されるなど、減額の仕方があまりにも極端な場合は、労働基準監督署や弁護士などに相談することがおすすめです。

せっかくのボーナスが減額されるのは残念ですが、退職を決めた医院で次の期待に応えられない以上、ある程度は仕方ないのかもしれません。
ボーナスをもらってから退職を伝えるのがベター

退職の意向を伝えるのは、ボーナス支給月の翌月以降がおすすめ
勤務先に退職の意向を伝えるのは、早くてもボーナスが支給された月の翌月くらいがよいでしょう。これは就業規則による減額を避けるためと、職場での心証をなるべく悪くしないためです。
ボーナスが支給される前に退職届を出すと、「ボーナスをもらってから辞めるなんて図々しい」などと思う人もいます。本来は従業員の当然の権利なのですが、小規模の歯科医院などでは院長が独自の判断でボーナスを減額したり、職場の人たちとギクシャクしてしまう恐れもあります。
「ボーナスをもらったらすぐにでも辞めたい!」という人もいるかもしれませんが、円満に退職するには、ある程度日にちを置いて退職の意向を伝える方が賢明です。
まずは就業規則を確認しよう!

- 賞与に関する規定
- 退職に関する規定
ボーナスをもらってから退職したい場合は、まず就業規則の賞与や退職に関する規定を確認しましょう。勤務先が定めるルールが分かれば、退職に適した時期が分かるはずです。
1. 賞与に関する規定
まず確認したいのは、賞与(ボーナス)の支給要件です。内容は勤務先によって異なりますが、例えば支給対象者に関する規定には、以下のようにいくつかのパターンがあります。
・賞与支給日時点で在籍している者
支給日前に退職すると受け取れない
・賞与支給月の末日時点で在籍している者
支給月の月末前に退職すると受け取れない
・賞与支給日1ヶ月前に在籍している者
支給日の1ヶ月前を過ぎれば、退職していても受け取れる
例えば、ボーナスの支給対象者が「支給月の末日時点で在籍している人」となっていて、夏のボーナス支給日が7月15日の場合、7月16日に辞めるつもりで退職届を出すと、支給要件を満たしていないためにボーナスを受け取る権利がなくなってしまいます。このような可能性があることからも、退職はボーナス支給月の翌月頃がよいわけです。
2. 退職に関する規定
ボーナスを満額もらって退職するには、ボーナス支給月の翌月頃に退職の意向を伝えるのが理想的です。その際に重要なのが、勤務先が規定する退職届の提出期限です。
退職届は退職を希望する1ヶ月前くらいに提出するのが一般的です。しかし中には、就業規則に「退職の3ヶ月前までに提出すること」と明記しているところもあります。
退職届の提出期限が数ヶ月前に設定されている場合、ボーナスをもらってすぐに退職届を出したとしても、実際に退職できるのは数ヶ月先になってしまいます。また、それに伴って転職するタイミングも大きく変わってくるため、早い段階で確認しておくことが重要です。

就業規則の提出期限を見落としていると、次の職場への入職時期にも影響が出てしまいます。計画的な退職には早めの確認が欠かせませんね。

ボーナスをもらってから辞めるベストなタイミング

7月のボーナスの場合 | |
7月 | ボーナス支給 転職先の内定 |
8月 | 退職届を提出 |
9月 | 引き継ぎ 退職 |
10月 | 転職先に入社 |
12月のボーナスの場合 | |
12月 | ボーナス支給 転職先の内定 |
1月 | 退職届を提出 |
2月 | 引き継ぎ 退職 |
3月 | 転職先に入社 |
7月と12月にボーナスが支給される場合、ボーナスをもらってから退職するには、上記のようなスケジュールがスムーズです。退職届の提出期限にもよりますが、仮に退職の1ヶ月前に提出する場合、転職先の内定はボーナス支給月かそれより少し前くらいにもらえると理想的でしょう。
ちなみに、内定をもらってから入社するまでは2~3ヶ月くらいが一般的です。就業規則で退職届の提出期限が2ヶ月以上前とされている場合は、ボーナスをもらってすぐの退職は難しいと考えておいた方がよいでしょう。

有休消化中でもボーナスはもらえる?

支給要件を満たしていればもらえる!
退職前にまとめて有給休暇を消化する人は多いと思いますが、有休消化中にボーナスの支給日があると、「ちゃんとボーナスをもらえるの?」と心配になりますよね。
結論から言うと、支給要件を満たしていればボーナスを受け取ることは可能です。例えば、勤務先がボーナスの支給対象者を「支給日時点で在籍している人」としている場合、有休消化中でも勤務先には在籍していることになるため、ボーナスは支給されます。
しかし、気をつけたいのは減額のリスクです。仮に就業規則に「退職予定者のボーナスは減額する」といった規定がある場合は、ボーナスを満額で受け取ることができなくなります。
このようなリスクを避けるためにも、退職届はボーナスが支給されてから提出する方がよいと言えるわけです。

有休消化中もしっかり在籍扱いだと分かっていても、タイミング次第で減額のリスクがあるのは不安になるものです。慎重な確認が大切ですね。
ボーナスをもらってから辞める時の注意点

「もらえるものはしっかりもらってから辞める」というのは、賢い退職の仕方です。しかし、だからと言っていい加減な辞め方をしていいわけではありません。そこで、ここでは円満退職するためのポイントについて解説しましょう。
1. 仕事をきちんと引き継ぐ
法律上、退職届は2週間前までに提出すればよいとされています。しかし、2週間では仕事の引継ぎが十分に行われないことが多いため、退職届の提出は就業規則で定められた期限を優先するのが一般的です。
勤務先の歯科医院が歯科衛生士の担当制を導入している場合、担当する患者さんを新しい歯科衛生士に引き継ぐ必要があります。この引き継ぎがきちんと行われなければ、患者さんが満足のいく治療を受けられない恐れがあるため、引き継ぎの期間に余裕を持たせることは非常に重要です。
また、退職前に有休を消化する場合は、その前に引き継ぎが終わるようにスケジュールを組むことも大切です。細かい事項まで正しく伝わるよう、ノートやデータなどにまとめておくのもよいでしょう。
2. 転職先を見つけておく
ボーナスをもらってすぐに退職できたとしても、転職先が見つかっていなければ、不安定な生活が続く心配があります。そのため、退職届を提出するのは「転職先から内定をもらった後」が最も理想的です。
内定の承諾をしたら、すぐに勤務先に退職の意向を伝えましょう。人手不足などを理由に引き止められることがあるかもしれませんが、揺るがない態度で対応することが大切です。転職先でしか叶えられない目標などがあれば、その点を強調するのもよいでしょう。

3. 転職活動中だということを周りに言わない
転職活動中はそのことを職場の人たちに言わないよう心がけましょう。また、職場のパソコンを使って転職サイトを利用したり、SNSで転職活動について投稿するのも避けるべきです。
早い段階で退職の意志があることを周囲に伝えるべきでないのは、辞めないように強く引き止められたり、気まずい思いをしたりする心配があるからです。
歯科医院は慢性的な人手不足に悩んでいるところが多く、歯科衛生士の退職は大きな損失になりかねません。また、新しい歯科衛生士が見つからない場合は、他の人たちが負担する仕事が増えてしまうといったデメリットも生じます。
もちろん、いずれは退職することを知らせなければならないわけですが、職場の人間関係を良好に保つためにも、内定をもらうまでは伏せておくことがおすすめです。
4. 満額を受け取ることばかりに固執しない
ボーナスを満額受け取って退職するには、ボーナスが支給されてから退職届を出すのが一番確実です。しかし、退職するまでに3ヶ月以上かかったり、転職先から早く入社するよう求められたりした場合は、ボーナス支給前に退職届を出す選択肢も考えた方がよいでしょう。
ボーナスをもらう前に退職届を出すと、就業規則の内容によってはボーナスが減額される可能性があります。しかし、本来の目的は転職することにあるので、ボーナスを満額受け取ることよりも、スムーズな転職を優先する方が賢明です。

ボーナスも大切ですが、患者様への責任や次のステップを考えると、金額だけにこだわらず柔軟に判断する姿勢も時には必要になってきます。
ボーナスまで待てない!こんな時は辞めてOK

退職前にボーナスをもらえればそれが一番ですが、中にはボーナスを待たずに辞めてしまった方がいいケースもあります。例えば、上記のようなことに当てはまる場合は、ボーナス支給前の退職を検討するのも一つの方法です。
1. 退職してもボーナスが支給される
就業規則でボーナス支給対象者を「賞与支給日1ヶ月前に在籍している者」などとしている場合は、ボーナス支給日に在籍していなくてもボーナスを受け取れます。
例えば、夏のボーナスの支給日が7月15日の場合、6月15日に在籍していれば支給要件を満たすことになります。つまり、6月15日を過ぎればいつでも退職できるわけです。
ただし、退職予定者に対する減額などが規定されている場合は、ボーナスが減額される可能性があります。その点も含めて、就業規則をしっかり確認してみましょう。
2. 心身に不調がある
職場のストレスなどで心身に不調をきたしている場合は、ボーナスの支給よりも体調を優先した方がよいでしょう。無理に働き続けて体調が悪化すると、転職するまでに余計に時間がかかってしまうからです。
ちなみに、心身の不調で休業している場合、仕事が原因の不調であれば労災保険、業務外のことが原因であれば傷病手当金を受け取れる可能性があります。ただし、受給するにはそれぞれ条件があるため、勤務先が加入している保険組合に問い合わせてみましょう。

3. ボーナスの金額が少ない
もらえるボーナスの金額が少ないのであれば、受け取ることをあきらめて早めに転職してしまうという方法もあります。
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、全国の歯科衛生士のボーナスの平均額は約48万円となっています。しかし中には、この平均を大きく下回るボーナスしか支給されない人もいます。
ボーナスが少ない職場に勤務している人は、給与面に不満を感じて転職するケースが多いはずです。転職先の給与が今よりも高ければ、ボーナスをもらう前に退職しても、受け取れなかった分を取り戻せる可能性が高いと言えるでしょう。
4. 転職後の初ボーナスをなるべく多く受け取りたい
ボーナスの金額を決める際は、査定期間における働きぶりや在籍日数などを基準とするのが一般的です。例えば、7月と12月にボーナスが支給される場合、多くの職場では以下のように査定期間が設けられます。
ボーナスの支給月 | 査定期間 |
7月 | 前年10月から3月 |
12月 | 4月から9月 |
ボーナスを満額で受け取るには、査定期間に在職している必要があります。つまり、転職の場合は査定期間の初月かその直前あたりに入社すれば、初ボーナスを満額で受け取れる可能性があるわけです。
求人票にボーナスの支給月などが記載されている場合は、査定期間を意識して入社日を調整するのもよいでしょう。また、転職して給与が上がるのであれば、査定期間の途中で入社して初ボーナスが減額されるとしても、ある程度の金額を受け取れる可能性があります。
ボーナスをもらってから退職代行で辞められる?

トラブルになる可能性もあるので十分注意しよう!
若い世代を中心に少しずつ利用者が増えている「退職代行サービス」。本人に代わって勤務先に退職の意志を伝えたり、その後の手続きを進めてくれるサービスですが、もちろん歯科衛生士も利用できます。
ただし、退職代行を利用しても、勤務先がなかなか応じてくれなければ、転職するまでに時間がかかってしまいます。また、追加費用がかかる業者であれば、せっかくボーナスをもらっても、退職するためにかなりの金額がかかる可能性もあります。
そして、退職代行には歯科衛生士ならではのリスクもあります。実際にあったのは、狭い地域内で転職しようとした際、退職代行を利用したことが近隣の歯科医院に知れ渡っていて、その地域では転職できなかったというケースです。
退職代行サービスには退職の手間やストレスを減らせるというメリットがある半面、思わぬトラブルが起こる可能性もあります。どうしても辞められない時の最終手段としては有効かもしれませんが、まずは円満退職を目指して自分で行動することがおすすめです。

退職代行は便利に思えても、歯科業界は意外と狭い世界です。地域での評判や今後のキャリアを考えると、慎重な判断が求められますね。
まとめ
ボーナスはそれまでに頑張った分に対する報酬です。そのため、退職する人にも受け取る権利があり、ボーナスをもらってから辞めることには何の問題もありません。
転職を考えているなら、なるべくボーナスをもらって退職することがおすすめです。転職活動するタイミングや退職届を出す時期などを見計らって、円満退職を目指しましょう!