20代で歯科衛生士として「仕事を辞めたい・疲れた」 と感じた時の対処法と先輩DHのリアルな声も紹介！

「今日も院長の機嫌に振り回された…」「このままでいいのかな」と悩む20代歯科衛生士は多くいます。また厚生労働省の調査でも、新人DHの約2割が3年未満での転職を視野に入れているという結果も。

この記事では、辞めたいと考える代表的な理由とそれに対する対処方法から先輩歯科衛生士の体験談もご紹介しています。

あなたが抱えている悩みと対処法が少しでもお役に立てれば嬉しいです！

「仕事を辞めたい・疲れた」と感じる20代歯科衛生士は多い・・！

「もう限界かも…」「この仕事、私に向いてない気がする…」そんな思いを抱えていませんか？実は、あなたの気持ちは特別なものではありません。

厚生労働科学研究費による2019年の全国調査では、歯科衛生士養成機関の卒業年次生の約2割が、最初の就職先での希望勤務年数を「3年未満」と回答しています。つまり、歯科衛生士を目指した学生のうち、5人に1人は最初から「数年で転職の道へ」と考えているのです。

また、この調査結果が教えてくれるのは、「辞めたい」と思うのはあなたの能力や適性の問題だけではなく、環境やキャリア教育、サポート体制など様々な要因が関わっているということです。

辞めるか続けるかの判断は簡単ではありませんが、多くの同世代の歯科衛生士が同じ悩みを抱えていることを知り、少しでも気持ちが楽になれば幸いです。

ここからは辞めたくなる理由をさらに紐解いていきますのであなたの選択、キャリアアップの参考になれば嬉しいです。

なぜ疲れる？なぜ辞めたくなる？20代歯科衛生士が仕事を辞めたくなる9つの理由！

1. 慢性的な長時間労働と休息不足

歯科医院では診療終了後も器具の滅菌や片付けが続き、スタッフが定時に帰れないケースが多いです。特に若手スタッフは「若いから頑張れる」と言われ、休日も院内研修や歯科セミナーに参加することが求められます。

休息時間が確保できず、肩や腰の痛みを抱えたまま新しい週を迎える状況が続き、身体的な限界を感じるスタッフが増えています。

2. 医院内の複雑な人間関係

歯科医院の職場環境は、院長の気分による指示の変更、女性が多い職場特有の派閥形成、ベテランと若手の対立、長く勤める衛生士による「私のやり方が正しい」という強い指導スタイルなど、人間関係の難しさが日常的に存在します。

特に小規模な医院では、理不尽な指示があっても意見できない雰囲気や、院長の機嫌次第で医院全体の空気が変わることも。患者さんのために質の高い医療を提供したいという思いがあっても、このような人間関係のしがらみに疲れ果て、転職を考える若手衛生士は非常に多いのが現状です。

「院長の機嫌で医院の空気が変わる…」「先輩衛生士との関係がうまくいかない…」

先述の調査によると、就職先を決める際に最も重視されるのは「職場の人間関係」（約40％）でした。また、就職に対する不安としても「職場の人間関係」は、「技術・知識不足」に次いで2位に挙げられています。医院という閉鎖的な空間での人間関係は、あなただけでなく多くの歯科衛生士が抱える悩みなのです。

3. 業務内容と個人の適性のミスマッチ

歯科衛生士として働く中で、自分の性格や強みと業務内容が合わないと感じるスタッフも多いです。患者とのコミュニケーションが苦手なのに予防指導を求められたり、器具の扱いに不安を感じながらも速さを求められたりする環境で、自信を失っていく若手スタッフの姿が見られます。

「別の医療職の方が自分に合っているのでは」という疑問を抱く人も少なくありません。

4. スキルアップの機会に格差がある

同時期に就職した同期と比較して、専門的な処置を任される機会に差があることで焦りを感じるスタッフが多いです。

一部の医院ではアシスタント業務や受付業務が中心となり、技術向上の機会が限られることがあります。「このままでは数年後も基本的な処置しかできない」という将来への不安から、より成長できる環境を求める気持ちが高まっています。

5.ワークライフバランスの課題

歯科医院では週休2日制を導入している医院が多くありますが、実際には希望する曜日に休めないケースが多いです。特に土曜診療がある医院がほとんどで、平日2日の休みとなり、友人や家族との予定が合わせづらい状況があります。

ライフプランを考える時期にあたる若手スタッフにとって、プライベートと仕事のバランスが取れる職場環境を求める気持ちが強くなっていて、ワークライフバランスを課題と考えるスタッフも少なくありません。

6. 診療方針、感染対策、業務範囲に対しての悩み

歯科医院によっては、保険適用外の自費診療を積極的に勧めるよう指示されるなど、患者本位ではない診療方針に疑問を感じるスタッフが少なくありません。「本当に必要な治療なのか」という葛藤を抱えながら働く状況が、職業的なやりがいを低下させるケースも。

また、滅菌対策や感染予防についても医院によって取り組みに差があり、「最新の感染対策ガイドラインに沿っていない」「器具の滅菌処理が不十分」といった不安を感じながら診療補助をするスタッフも存在します。

歯科衛生士法で認められた業務範囲を超える行為を「忙しいから」「経験を積むため」という理由で指示され、断れない雰囲気の中で法的リスクを背負わされることに不安を感じる若手スタッフが増えています。

特に20代は経験が浅いために違法性の認識が不十分だったり、指示を断れなかったりするケースが多く、後になって法的な問題に気づいて転職を決意するパターンも少なくありません。患者安全と自身のキャリアを守るための決断として、離職を選ぶスタッフが見られます。

7. 専門性向上の機会が不足している

小児歯科、矯正、審美歯科など専門分野のスキルを磨きたいと考えても、一般歯科中心の医院では専門性を高める機会が限られます。

勉強会や研修に参加する時間的余裕もなく、キャリアアップのための自己投資ができない環境に不満を感じるスタッフが増えています。専門性の高い衛生士になりたいという目標が達成できないことへの焦りが辞めたいという考えに繋がることもあるようです。

8. 給与水準と将来の経済的不安

同じ経験年数でも医院によって給与差が大きく、不満を感じる歯科スタッフは少なくありません。技術や知識の向上が適切に評価されない報酬体系や、昇給ペースの遅さが問題視されています。

基本的な生活費で手一杯の状況では将来への貯蓄も難しく、「このままのペースで給与が上がっても、いつになったら経済的に安定するのか」という不安を抱える20代スタッフが多いです。

9. SNSでの比較による焦り

SNSで同期や同業者の活躍を目にすることで、自己評価が下がるケースが増えています。「大学病院勤務」「予防歯科専門クリニックのリーダー」など、華やかに見える投稿に触れるたび、自分のキャリア選択に疑問を持つ若手が多いです。

表面的な情報と比較することに意味がないと理解していても、焦りを感じてしまう心理的メカニズムが働いています。

【20代歯科衛生士向け】我慢して続けるべき？辞めるべき？自己診断チェックリスト！

以下のチェックリストで自分の状況を確認してみましょう。当てはまる項目にチェックを入れて、あなたの「続けるべき度」と「辞めるべき度」を参考として診断してみてください。

辞めるべきサイン（赤信号チェック）

要注意サイン（黄信号チェック）

続けるべきサイン（青信号チェック）

「辞める・辞めない」の二択ではなく、「どう環境を改善するか」「どの時期に、どのような医院に転職するか」という視点で考えることも大切です。歯科衛生士としてのキャリアは長いものです。今の判断が将来の自分を作ることを意識して決断しましょう。

20代歯科衛生士が仕事を辞めたい時に考えたい6つの事！

1. 「辞めたい」という気持ちは一時的？それとも慢性的なのか

歯科医院の繁忙期の疲労感なのか、長期間にわたって感じていることなのかを区別することが大切です。

患者さんが多い時期や、嫌なこと・落ち込むことがたまたま続いた時期、複雑な治療が続いた後の一時的な疲れなら、休息で回復することもあります。しかし、何ヶ月も「辞めたい」と感じ続けているなら、院内の人間関係や医院の方針など、より根本的な問題があるかもしれません。

2. 何が本当のストレスの原因なのか？

「辞めたい」と思う具体的な理由を紙に書き出してみましょう。

• 患者対応の難しさ？
• 院長や先輩衛生士との関係？
• 診療内容や技術的な不安？
• 給与や休日？
• 将来のキャリアパス？など

歯科医院特有の原因（診療ポジションの姿勢による身体的負担、滅菌作業の多さなど）が見えると、対処法も見えてきます。感情に任せず、客観的に分析することが大切です。

3. 現在の環境で改善できる可能性はあるのか？

今の医院でストレス要因を改善・解消できる可能性があるか考えましょう。院長や主任衛生士に相談できる？勤務時間の調整や研修参加の機会はある？

解決策が見つかれば、転職という大きな決断をする前に、現在の環境で改善を試みる価値があります。

4. 今の医院の仕事から得られるものは何なのか？

給与以外にも、技術スキル、患者対応力、専門知識など、今の医院から得られるものを考えましょう。特に20代の歯科衛生士は、「難しい症例=貴重な経験」と捉え、困難な環境であっても技術的に成長できる機会があるかもしれません。

認定衛生士などの資格取得支援やセミナー参加の機会など、短期的な不満と長期的なキャリア形成のバランスを考えることが大切です。

5. 転職後の理想像は明確にできているか？

「辞めたい」気持ちが強いなら、次にどんな医院で働きたいのかをイメージしましょう。「とにかく今の医院から逃げたい」だけでは、次も同じ問題に直面する可能性があります。

希望する診療科目（一般歯科、小児歯科、矯正歯科など）、医院の規模、チーム体制、勤務条件などを具体的に描けていますか？歯科衛生士として長く働くために、自分が大切にしたい価値観を整理しておくことが重要です。

6. 現実的な自分の市場価値を考える

歯科衛生士としての技術レベルや経験は転職市場でどれくらいの価値があるか、客観的に評価することも重要です。

特に若手衛生士は「即戦力」と見なされるかどうかで条件が変わります。

希望する給与、勤務日数、通勤時間などの条件で転職できる可能性があるか、歯科衛生士専門の求人情報を調べるなど、現実的に検討しましょう。また、地域によって求人状況が大きく異なることも考慮に入れてください。

20代で仕事を辞めたい・疲れた時にとりたい対処法！

適切な休息をとる

まず、心身を休めることが最優先です。有給休暇を申請して連休を作り、リフレッシュする時間を確保しましょう。特に歯科衛生士は立ち仕事や前傾姿勢による身体的負担が大きいため、腰痛や肩こりのケアも重要です。

十分な睡眠、バランスの良い食事、ストレッチなどで基本的な健康を取り戻すことが、冷静な判断の土台になります。診療の疲れから解放されるだけで状況の見え方が変わることも少なくありません。

同じ職種の人に相談する

一人で抱え込まず、信頼できる歯科衛生士の先輩や同期、歯科衛生士学校の同級生などに話を聞いてもらいましょう。

歯科医院特有の問題（院長との関係、患者対応の難しさなど）は、同じ職種の人からのアドバイスが特に参考になります。歯科衛生士の交流会や研修に参加して、他院の状況を知ることも視野を広げるのに役立ちます。

院長や主任衛生士に相談する

勇気が必要ですが、院長や主任衛生士に現状の悩みを伝えてみましょう。建設的な対話ができれば、診療スケジュールの調整、研修参加の許可など、環境改善のための選択肢が見つかるかもしれません。

相談の際は、「患者さんにより良い医療を提供するため」という視点で、具体的な課題と希望する解決策を明確に伝えることがポイントです。

スキルアップで状況を変える

現在の医院に不満があっても、そこで専門的なスキルを磨くことで状況が変わることがあります。

歯科衛生士向けの研修、認定衛生士資格の取得準備、専門分野（小児歯科、矯正、予防など）の勉強会参加などを通じて自己成長を図りましょう。

新しいスキルは現在の医院での評価向上や、将来の転職に役立ちます。身につけたスキルは一生の武器となります。

プライベートの充実を図る

診療の緊張感から解放される時間を大切にしましょう。趣味や運動、友人との交流など、歯科衛生士としての自分とは別の時間を意識的に確保し、生活に喜びをもたらす要素を増やすことが大切です。

仕事以外の充実感があれば、医院のストレスへの耐性も高まります。また、歯科衛生士特有の身体的負担を軽減するためのヨガやストレッチなども効果的です。

転職の準備を計画的に始める

環境改善の見込みがなく、辞めたい気持ちが強いなら、計画的に転職準備を始めましょう。歯科衛生士としての技術の棚卸し、得意な診療内容の整理、希望する勤務条件の明確化など、在職中にできる準備を進めることで、次のステップへの不安を軽減できます。

歯科衛生士は需要が高い職種ですが、自分に合った医院を見つけるためには準備が必要です。

歯科衛生士専門の転職サービスを利用する

歯科衛生士向けの転職サイトやエージェントに相談することも有効です。地域の求人状況や給与相場、勤務条件など、客観的な情報を得られるほか、あなたのスキルや希望に合った医院を紹介してもらえる可能性があります。

多くのサービスは無料で利用でき、非公開求人も多いため、選択肢が広がるでしょう。

20代の頃に「辞めたい」と思いながらも歯科衛生士として活躍する先輩たちの声

ここでは同じような悩みを持ちながらも衛生士として活躍している先輩たちの声をご紹介しています。

環境を少し変えるだけで、見える景色がこんなに違うものかと驚いています。

入社2年目の頃、先輩衛生士とのコミュニケーションがうまくいかず毎日泣いていました。でも院長に相談したところ、間を取り持ってくれてそれからはとても働きやすくなりました。

今では10年目になり、当時の先輩とも良い関係になりました。環境を少し変えるだけで、見える景色がこんなに違うものかと驚いています。今は後輩の相談役として、働きやすい職場づくりに貢献できることにやりがいを感じています。

職場の人間関係の悩みは歯科衛生士の離職理由として非常に多いものです。悩みを一人で抱え込まず、上司や院長に相談する勇気を持つことの大切さ。

環境を少し変えるだけで状況が改善することも多いのです。まずは自分の気持ちを伝えてみることから始めるのも良いかもしれません。

小児歯科に興味を持ち、休日を使って勉強会に参加し始めました。

3年目まで基本的な処置の繰り返しに物足りなさを感じていました。「このまま続けても成長できないかも」と悩んだ時、小児歯科に興味を持ち、休日を使って勉強会に参加し始めました。今は子どもの予防指導を専門にしています。

子どもたちの「歯医者さん怖くない！」という笑顔が私の原動力。専門性を持つことで給与面でも評価されるようになり、7年目の今は全く辞めたいと思わなくなりました。

自分の興味を探し、専門性を高めることで、単調に感じていた業務に新たな意義を見出せるかもしれません。自己投資の時間を作ることは、長期的なキャリア構築にとって非常に価値があります。

プライベートの充実が心の余裕を生み、逆に仕事の質が上がりました。

残業が多い大規模医院で心身ともに疲れ果て、26歳で一度退職しました。3ヶ月ほど休んだ後、完全週休2日制の小さなクリニックに転職。「時間内に終わらせる」という院長のポリシーのおかげで、定時に帰れる日々が続いています。

給与は下がりましたが、プライベートの充実が心の余裕を生み、逆に仕事の質が上がりました。5年経った今、この選択は間違いなかったと思います。無理せず長く続ける道を選んで良かったです。

無理のある勤務環境は、どんなに仕事が好きでも続けられない原因になります。

自分に合った職場環境を選ぶことの重要性を教えてくれます。歯科医院の文化や方針は様々で、自分のライフスタイルに合った環境を探す選択肢も常にあることを忘れないでください。

辞めなくて本当に良かった。

24歳の頃、先輩の高度な技術についていけず自信をなくし転職を考えていました。でも院長が外部セミナーの費用を出してくれたんです。

基礎からやり直す気持ちで学び直した結果、少しずつ技術に自信がつきました。患者さんに「あなたの担当がいいわ」と言われた時の喜びは今でも忘れられません。

29歳になった今、後輩に技術指導する立場になり、自分の成長を実感しています。辞めなくて本当に良かった。

技術・知識不足への不安は、新人歯科衛生士の約60%が感じるものだという調査結果があります。患者さんからの信頼を得られたときの喜びは、この仕事の最大の魅力の一つです。

思い切って院長に改善提案をし、自分の居場所ができました。

入社3年目、毎晩泣いて出勤する日々でした。給与も安く、技術も身につかない…。でも一度「何が辛いのか」を紙に書き出してみたんです。

すると「自分から積極的に動けていない」ことに気づきました。思い切って院長に改善提案をし、自分の居場所ができました。今は31歳、予防歯科のスペシャリストを目指して充実した毎日です。諦めなくて良かったと心から思います。

問題を具体的に見える化することで、感情に振り回されず冷静な対策を考えられるようになります。この先輩のように、自分から提案する姿勢を持つことで、思いがけない形で状況が改善することも。

受け身ではなく、自分のキャリアを自分で作っていく主体性が、長く働き続ける秘訣かもしれません。

まとめ

20代の歯科衛生士が「仕事辞めたい・疲れた」と感じることは決して珍しくありません。実際、歯科衛生士の離職率は他の医療職に比べても高いと言われています。大切なのは、感情に流されず、自分の状況を客観的に分析し、最適な対応を選ぶことです。

即座に辞めるのではなく、まずは休息をとり、医院内での改善可能性を探ってみましょう。それでも状況が変わらないなら、歯科衛生士としてのキャリアを長期的に考え、計画的に次のステップへ進む準備をすることが大切です。

歯科衛生士は患者さんの口腔健康を支える大切な仕事です。自分の心と体の健康を守りながら、やりがいを持って長く働ける環境を見つけることが、結果的に良い医療の提供につながります。

今の苦しさが技術向上の糧になることもあれば、環境を変えることで新たな可能性が開けることもあります。あなたの歯科衛生士としての経験とスキルを活かせる場所を見つけましょう。

参考文献